唐招提寺

開基は中国・唐出身の僧・鑑真。奈良時代建立の金堂、講堂を始め、多くの文化財を有する。

唐招提寺 金堂
Toshoaiji Temple Kondo Hall
国宝
 寄棟造(桁行7間・梁間4間)
 本瓦葺
 宝亀年間(770-781)の造立
 奈良時代の金堂の唯一の遺例
唐招提寺 金堂

 歴史

時代 内容
亀宝年間(770-781) 『招提寺建立縁起』によると鑑真の弟子・如宝の建立と伝える。

 建築

  • 奈良時代の金堂建築として唯一現存する貴重な建物。
  • 正面庇1間通りを吹き放しとし、柱間は中央間から両端間に向かって段々狭くなる。
  • 柱は直径60cm、下から2/3は真直ぐ、残り1/3は上方に向かって細くなる。
  • 大棟両端には平成大修理で新しく造った鴟尾を飾る。
唐招提寺金堂 正面図 唐招提寺金堂 側面図

引用:図解 社寺建築[社寺図例/編] 理工学社

 堂内

本尊
国宝 盧舎那仏坐像
脇侍
国宝 薬師如来立像 【左】
国宝 千手観音立像 【右】
諸尊
国宝 四天王立像
国宝 梵天・帝釈天立像
  • 柱間に大虹梁(だいこうりょう)を掛け広い空間をつくり出し、石組仏壇の上には中央に盧舎那仏坐像、向かって右に薬事如来立像、左に千手観音菩薩立像が安置される。
  • 本尊の前方両脇には梵天・帝釈天、仏壇四隅には四天王が配されている。
  • 天井は、折上組入天井で当初の形式・部材及び彩色がよく残っている。
  • 天井板は4間を一つの絵として描かれている。
  • 折上げ部の支輪板には5種の文様が見られる。
唐招提寺金堂 内陣
金堂内陣

 仏像


盧舎那仏坐像
Bronze sitting statue of Rushana Buddha
国宝
唐招提寺金堂 盧舎那仏坐像

(引用:月刊 大和路 ならら 2015.2月号)


  • 脱活乾漆 漆箔 像高304.5cm(光背の高さ:515.0cm)
  • 光背と台座は木造。
  • 『招提寺建立縁起』には鑑真に従って来朝した弟子・義静の造立とされる。
  • 台座内に「造物部広足生」「造弥浄福」「造漆部造弟麻呂」その他、造像に関わったとされる人名の墨書がある。
  • 造立年次には諸説あるが、天平宝字年間に東大寺造仏所系の工人達によって造立されたものと推定。
  • 広大無辺の毘盧舎那如来の世界観を脱活乾漆という技法で表現した天平時代後半の代表作。
特徴
  • 光背には盧舎那仏の分身である千体の釈迦がつけられ、台座蓮弁にも一体ずつ釈迦が墨で描かれており、「梵網経」に説く世界観を表現している。
  • 厳しい表情と胸幅の広い重厚な体つき、流動的な衣文に8世紀半ばの中国彫刻の影響を受けている。
  • 左手は膝の上にあって掌を上にして開き、右手は第一指と第三指を捻じる説法相で、両手指間の縵網相(まんもうそう)が美しく表現されている。
  • 横幅のある体躯に、両肘の位置を低くして構えた姿勢には、包み込まれるようなゆったりとした感じを受ける。
  • 頭部は少し大きめで、頬の張りは豊かであるが引き締まっている。
  • 水平に伸びる眉尻、眼球のふくらみが強く、眉と平行に引かれる目尻、太めの花梁(びりょう)をもつ鼻など、これまでの仏像には見られなかった容貌とされる。
  • 近年の修理により、瞳に硬質の別材が貼り付けられ、瞳の奥に珠、両手掌内にもそれぞれ大小2個の数珠玉のようなものが埋め込まれてることが判明した。
毘盧舎那仏
  • 光煇普遍(こうきふへん)・光明遍照(こうみょうへんしょう)などと訳され、盧(舎)那ともいう。
  • 太陽神をもとに考え出されたもので、地上に出現した釈迦如来は仮の姿であり、その本身として全宇宙に遍満する真実の仏身こそが毘盧舎那如来であるという教理の展開によって生まれた如来である。
  • 梵網経や華厳経が基本の経典。
  • 梵網経では、蓮華蔵世界において正覚を得た盧舎那仏は千花の台座に坐して一花に百億国、一国に一釈迦を現すと説かれる。


千手観音立像
Standing Statue of Senju Kannon
国宝
唐招提寺金堂 千手観音立像

(引用:新版 古寺巡礼奈良8『唐招提寺』淡交社)


  • 木心乾漆 漆箔 像高:535.7cm
  • 本尊に向かって左側に安置される。
  • 丈八(一丈八尺)と国内では珍しい大きさの像。
  • 制作期は本尊に送れる8世紀末と推定される。
  • 実際に手は千本あったと推定(現在953本)。
  • 頭には頂上の仏面をはじめ十面を戴き、額には縦に一眼を刻む。
  • 豊かでよく伸びた体躯は胴部にくびれをつけ、天冠台や光背をはじめ装飾部分も極めて細やかな意匠が表されているのが特徴。


薬師如来立像
Standing statue of Yakushi Nyorai
国宝
唐招提寺金堂 薬師如来立像

(引用:新版 古寺巡礼奈良8『唐招提寺』淡交社)


  • 木心乾漆 漆箔 像高:336.0cm
  • 本尊に向かって右側に安置される。
  • 左掌から延暦15年(796)初鋳の皇朝十二銭の一つ「隆平永宝」が発見された。
  • 『招提寺建立縁起』によると鑑真和上の弟子・如宝の造立とされる。
    ⇒ 如宝の没年・弘仁6年(815)以前制作と推定。
  • 右手は親指と人差し指を捻じ、左手は下に垂らして予願印とする。
  • 奈良時代以前の薬師如来と同様に薬壺は持たない。
  • 顔は大きめで、首は極端に短い。
  • 衣端には大きな翻りもなく、股間の衣文線もほとんど真直ぐに下りているので静かにたたずむ感じ。
  • 同時期の強い表情の木彫刻とは大きな違いで奈良時代後半の気分を受け継いでいる様子。


梵天・帝釈天立像
Standing Statue of Bonten and Taishakuten
国宝
唐招提寺金堂 梵天立像
梵天立像
唐招提寺金堂 帝釈天立像
帝釈天立像
(引用:新版 古寺巡礼奈良8『唐招提寺』淡交社)

  • 木造乾漆併用 彩色
  • 像高:帝釈天188.2cm・梵天186.2cm
  • 向かって左が帝釈天、右が梵天。
  • 本来は本尊・盧舎那仏坐像の左右に安置されていた。
  • 頭部から両袖を含めてほぼ全身を一材から彫りだし、裳裾には別材を足す。
  • 表面は乾漆を盛上げ、特に髪や天衣は乾漆で形作る。
  • 両像ともに甲をまとい、大袖と鰭袖(はたそで)の衣、天衣、裾の翻った長い裳をつけ、沓をはいて台座上に立つ。
  • 梵天はさらに袈裟をつける。
  • 袖部に変化を与えることで生動感を表出している。
  • 額の狭い幅広い顔立ち、うねりのある目と大きな鼻からなる威厳のある表情は本尊・盧舎那仏に通じる。


四天王立像
Standing statues of Shitenno
国宝
唐招提寺金堂 持国天立像
持国天立像
唐招提寺金堂 増長天立像
増長天立像
唐招提寺金堂 広目天立像
広目天立像
唐招提寺金堂 多聞天立像
多聞天立像

(引用:新版 古寺巡礼奈良8『唐招提寺』淡交社)


  • 木造乾漆併用 彩色漆箔
  • 像高:持国天185.0cm、増長天187.2cm、広目天186.3cm、多聞天188.5cm
  • 須弥壇の四隅に安置される。
    (東南:持国天、西南:増長天、西北:広目天、東北:多聞天)
  • いずれも大袖・鰭袖の衣・裳を着し、その上から甲をまとう。
  • 持国天と広目天は兜を被る。
  • 四躯とも沓をはいて州浜形の岩座の上に立つ。
  • 基本的な構造は、梵天・帝釈天像と同様で、頭体を通して岩座の中心部までを一木から彫りだし、背面から肉刳をして蓋板をあてる。
  • 両肩から先などは別材を足し、部分的に乾漆を盛り上げて整形し、表面仕上げに彩色を施している。
  • 顔の色は、持国天:緑青、増長天:肉色、広目天:白緑、多聞天:群青。
  • 作風も梵天・帝釈天像に通じ、小ぶりの頭部とよく伸びた体躯で大ぶりの目鼻による暗重な表情も共通する。
  • 袂先をくくった大袖や裳裾を両脚間に垂らしている表現は従来の四天王像にはなかったので特徴的。

 関連リンク

唐招提寺 公式サイト

 案内

住所

  • 奈良市五条町13-46

交通 詳細

  • 西ノ京駅 ~ 徒歩6分

拝観 詳細

  • 時間 8:30~17:00
  • 料金 600円
    (別途 御影堂:500円/新宝蔵:200円)