石上神宮

日本最古の神社の一つで、武門の棟梁たる物部氏の総氏神として古代信仰の中でも特に異彩を放つ。

 社格

  • 官幣大社
  • 名神大社
  • 二十二社(中七社)

[解説]社格

 主祭神

  • 布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)
  • 布留御魂大神(ふるのみたまのおおかみ)
  • 布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ)

総称して、石上大神と仰がれる。

 配神

  • 宇摩志麻治命(うましまじのみこと)
  • 五十瓊敷命(いにしきのみこと)
  • 白河天皇(しらかわてんのう)
  • 市川臣命(いちかわおみのみこと)

 所在地

  • 奈良盆地の中央東寄り、龍王山の西麓、布留山(標高266m)の北西麓の高台に鎮座する。
  • 境内は鬱蒼とした常緑樹に囲まれている。
  • 北方には布留川が流れ、周囲には大和古墳群がある。
石上神宮 位置図
石上神宮 位置図

 由緒

時期 内容
崇神7年(594) 御祭神として石上大神を仰ぎ、石上布留の高庭に祀られた。
ヤマト王権 武器庫としての役割を担い、王権の軍事面を統括した物部氏の氏神となり、一族の信仰を集めた。
仁徳天皇 布留宿禰の祖・市川臣を神主とする。
天武3年(674) 天武天皇が忍壁皇子を遣わし、諸家の宝物を各子孫に返す勅を出す。
天平2年(730) 聖武天皇が神戸租稲3800余束を寄進。
神護景雲2年(768) 神封50戸を奉る。
延暦23年(804) 社蔵の器仗(武器)を兵庫(武器庫)に遷すが、怪異なことが多発したので、元に戻したとされる。
⇒ 延べ157,000余人を要したと伝えられる
⇒ 当時それほど多量の神宝があったと推定される。
大同元年(806) 80戸の神封(律令制で神社に俸禄として支給した戸)を有す。
嘉祥3年(850) 正三位を授けられる。
貞観元年(859) 従一位を授けられる。
貞観9年(867) 正一位に昇叙せらる。
永保元年(1081) 白河天皇が皇居の神嘉殿を移設し、拝殿とする。
文保2年(1318) 楼門を建立。
明治7年(1874) 大宮司・管政友が拝殿の背後にある禁足地か神剣を発掘した。
明治11年(1878) 幣殿造営。
大正2年(1913) 本殿造営。

 摂社・末社

摂社
名称 適用 詳細
出雲建雄神社 詳細ページ
天神社 詳細ページ
七座社 詳細ページ
猿田彦神社 詳細ページ
天神社と七座社を合わせて9座は、生命を守護する宮中八神に禍(わざわい)と穢(けがれ)を改め直す大直日神を併せて祀ったもので、鎮魂祭と深い関係にあり、上古から鎮座していると伝わる。
末社
名称 適用 詳細
神田神社 詳細ページ
祓戸神社 神職者以外は参拝不可
恵比寿神社 境外末社

 境内

石上神宮 境内図
石上神宮 境内図
  • 拝殿の背後には禁足地があり、一般人は足を踏み入れることはできない。
  • 境内には、約40年前に奉納された約30羽のニワトリが放し飼いにされている。
名称 建立時期 詳細
本殿 詳細ページ
拝殿 詳細ページ
儀式殿
長生殿
参集殿
神庫 click
祭器庫
回廊 click
楼門 click
大鳥居


楼門
Romon
重要文化財
石上神宮 楼門
(2012/09/29撮影)

  • 2階建の門:仏教式 ⇒ 神仏混淆の名残
  • 文保2年(1318)建立。
  • 明治以前は鐘楼門として上層に鐘を吊るしてた。
    ⇒ 神仏分離令により取り外され売却。
  • 正面に掲げる木額の「萬古猶新(ばんこゆうしん)」の字は、明治~大正の元老・山縣有朋の筆による


神庫
Sacred Warehouse
七支刀を収蔵していた蔵
石上神宮 神庫
(引用:公式サイト)

  • 校倉造。
  • 嘉永4(1851)年、再建。
  • もとは禁足地の外の拝殿西隣に建つ。
    ⇒ 明治45年、本殿建立工事に伴い現在場所に移築。
  • 御神宝を収蔵する庫であると同時に神格の宿るところとされる。
  • 12月31日、神庫祭(ほくらさい)を斎行し、御神宝の御安泰を祈願。
  • 七支刀や鉄盾を収蔵してきた。


廻廊
Corridor
室町以前から存在
石上神宮 廻廊
(2013/03/02撮影)

  • 拝殿前の斎庭を取り囲むように建つ。
  • 連子窓、縁を黄色に彩色、四角の窓枠は緑色、縦に棒(連子子)が付く。
  • 昭和7年(1932)、再建。
  • 元亀元年(1570)、修覆の記録あり
  • 宝永4年(1707)、南海・東海大地震で倒壊。
境内風景
石上神宮 ニワトリ
ニワトリ
(2013/03/02撮影)
石上神宮 大鳥居
大鳥居
(2013/03/02撮影)
石上神宮 楼門前からの風景
楼門前からの風景
(2013/04/02撮影)
石上神宮 山の辺の道へ
山の辺の道へ
(2013/03/02撮影)

 国宝

建造物
名称 適用 詳細
拝殿 詳細ページ
出雲建雄神社拝殿 詳細ページ
古文書・考古資料・歴史資料
名称 適用 詳細
七支刀 click

 重要文化財

建造物
名称 適用 詳細
楼門 click
工芸品
名称 適用 詳細
色々威腹巻 兜・壺袖付 奈良国立博物館委託 click
古文書・考古資料・歴史資料
名称 適用 詳細
鉄盾 東京国立博物館委託 click
石上神宮禁足地出土品 員数:一括 click

 社宝


七支刀
Seven-pronged Sword
国宝
  • 鉄製
  • 古墳時代 泰和4年(369)と推定
  • 全長:74.8cm
  • 神庫(ほくら)に伝世した古代の遺品。
  • 以前は「六叉鉾(ろくさのほこ)」と称されてきたが、刃身に記された銘文により「七支刀」と称している。
  • 全面が鉄銹(てつさび)に覆われており、伝世以来、御神体同様のものとして奉斎されてきた。
  • 「日本書紀」の神功皇后摂政52年に百済から献上されたとされる「七枝刀(ななつさやのたち)」と考えられている。
石上神宮 七支刀
(引用:公式サイト


鉄盾
Iron Shield
重要文化財
  • 鉄製
  • 古墳時代 5世紀後半と推定。
  • 神庫に「日の御盾」と称して収蔵されてきた伝世品。
  • 同形式で大きさの異なる2面で構成。
  • 2面のうち、1面は東京国立博物館に委託。
石上神宮 鉄盾
(引用:公式サイト


色々威腹巻
Iroiro-Odoshi-Haramaki
重要文化財
  • 腹巻:行動性を重視した形式の甲(よろい)
  • 白・紫・紅・萌黄(もえぎ)という鮮やかな色の糸でつづり合わせている(=威す)
  • 足利尊氏が奉納したものと伝えられている。
  • 奈良国立博物館に委託。
石上神宮 色々威腹巻
(引用:公式サイト


禁足地出土品
Tabooed Land Excavated Articles
重要文化財
  • 明治7年(1874)、大宮司・菅政友(すがまさとも)が官許を得て、禁足地を発掘。
  • 明治11年(1878)の幣殿新築、大正2年(1913)の本殿新築の際にも遺物が出土。
  • 神庫に収められている。
  • 玉や武具類の多くは4世紀頃、鏡は平安時代のものと推定される。
琴柱形石製品
Kotoji-shaped stone product
  • 琴の弦を調整する琴柱に形状が似ている。
  • 濃緑の良質な碧玉で作られている。
  • 逆さまにして杖頭として用いたと考えられている。
琴柱形石製品
公式サイトから引用)
角形管玉
Square-shaped Jasperite
  • 断面が菱形の管玉
  • 長さ2.8cm
  • 側面に紋様があるので棗玉の1つ。類例が少ない。
角形管玉
公式サイトから引用)
金銅環
Gilt bronze Ringed Earring
  • 銅製で鍍金が2個、鍍銀が1個の計3個。
  • 古墳時代に広く使用されていた耳飾り。
  • 長径2.6cm
金銅環
公式サイトから引用)
弧状管玉
Arc-shaped Jasperite
  • 乳灰色の硬玉で作られた弦月状の管玉。
  • 長さは5.3cm
  • 特異な形で、他に類例がない珍しいもの。
弧状管玉
公式サイトから引用)
環頭大刀柄頭
Hilt of sword with a ring pommel
  • 環形の装飾をした大刀の柄頭。
  • 長さ12.1cm。銅製で環頭部を鍍金。
  • 唐草文を施した環形の中に鳳凰の頭部を模る。
環頭大刀柄頭
公式サイトから引用)
金銅垂飾品
Gilt bronze Vertical Ring
  • 2個の環を直角に組合せてその上に小さな環をつけた装飾品。
  • 長さ4.6cm、表面は往時に施された鍍金が残る。
金銅垂飾品
公式サイトから引用)
硬玉棗玉
Jujube- shaped bead of jadeite
  • 軟玉製で棗(なつめ)の実のような形状
  • 9個で構成、紋様の有無・緑色の濃淡など様々
  • 長さ1.2~0.6cm。
硬玉棗玉
公式サイトから引用)
銅鏃
Copper arrowhead
  • 古式の柳葉形の鏃(やじり)
  • 白銅製
  • 長さ7.2cm
銅鏃
公式サイトから引用)
金銅空玉
Gilt bronze hollow sphere
  • 中空の球形の装飾品。
  • 一方に小さな孔がある
    ⇒ 吊るして使用されたと推定。

公式サイトから引用)
硬玉勾玉
Magatama of jadeite
  • 濃緑または淡緑の翡翠(ひすい)を加工した勾玉
  • 長さ:最大5.3cm、最小1.8cm
  • 古墳時代前期の副葬品にみられる勾玉と類似
硬玉勾玉
公式サイトから引用)
碧玉管玉
Cylindrical beads and Jasperite
  • 鎖状につないであるもの、2個ずつ一括りのもの、単独のものなど合計293個ある。
  • 細身のものがみられる。
  • 製作年代は勾玉と同様に古墳時代前期と考えられる。
碧玉管玉
公式サイトから引用)
銅鏡
Copper mirror
  • 草花文鏡:直径9.7cm、内区には面の中央を中心に左回りの草花文、外区には簡略な草花文が施される。
  • 萩菊双雀鏡:直径8.5cm、鏡背面は銹(さび)が広がっていて不鮮明。面中央を中心に左回りの萩・菊がまたがり、萩と菊の間に雀を2羽施す。
  • 奉納鏡として製作、平安時代後期のものと推定。
銅鏡
公式サイトから引用)
鏡形銅製品
Mirror form Copper Product
  • 中央に鏡と同様の紐を通す素紐(そちゅう)をつくり、表面を線で内外2区分に分ける。
  • 直径12.4cmと11.8cmの2枚
  • 用途は器物の蓋と推定。
  • 奉納品として後世に埋納されたと考えられる。
鏡形銅製品
公式サイトから引用)

 年間行事

伝統行事
時期 名称 適用 詳細
1/1 神火祭・新春初太鼓、歳旦祭
1/3 元始祭
1/7 昭和天皇祭遙拝式
1/15 出雲建雄神社 例祭 出雲建雄神社
古神符焼納祭
節分前日 玉の緒祭
節分当日 節分祭
2/11 紀元祭
2/19 祈年祭・初穂奉納奉告祭
春分の日 春季皇霊祭遙拝式
3/23 恵比寿神社 例祭 恵比寿神社
3/28 猿田彦神社 例祭 猿田彦神社
4/3 神武天皇祭遙拝式
4月第1日曜 献燈講講社大祭
4/15 春季大祭
4/29 昭和祭
5/3 長寿講春季大祭
6/23 祓戸神社 例祭 祓戸神社
6/30 神剣渡御祭
・本宮祭
・神田神社 例祭
・御田植神事
9月第1日曜 崇敬会大祭
10/1 榜示浚神事
10/14 例祭 宵宮祭
10/15 例祭 渡御祭
10/16 例祭 後宴祭
10/17 神嘗祭遙拝式・七五三詣
11/3 明治祭、長寿講秋季大祭
11/22 天神社・七座社 例祭
鎮魂祭
天神社・七座社
11/23 新嘗祭
12/8 お火焚祭
12月中旬 煤払祭
12/23 天長祭
12/31 神庫祭・大祓式・除夜祭

 関連リンク

石上神宮 公式サイト

 案内

住所

  • 天理市布留町384

交通

  • JR・近鉄 天理駅 ~ バス「苣原行」石上神宮前下車 ~ 徒歩3分

参拝 詳細

  • 時間 5:30~17:30(季節によって異なる)
  • 料金 無料