奈良国立博物館

仏教美術を中心とした文化財の収集、保管、研究、展示を行う。本館は宮廷建築家・片山東熊の設計。明治期の洋風建築の代表例。

奈良国立博物館
Nara National Museum
四大国立博物館
 仏教美術を中心とした文化財の収集、保管、研究、展示
 展示品は館蔵品のほか、奈良県下を中心とした社寺や個人からの寄託品
 毎年秋に実施される「正倉院展」の会場

 所在地

  • 東大寺、興福寺、春日大社などに囲まれた奈良公園の一角に位置する。
【位置図】奈良国立博物館
奈良国立博物館の位置図

 歴史

時代 内容
明治28年(1895) 帝国奈良博物館として開館。
明治33年(1900) 奈良帝室博物館に改称 ⇒ 仏教美術の研究や保存、展示
明治35年(1902) 関野貞(せきのただし)が設計して奈良県物産陳列所の建物を完成
⇒ 現在は、仏教美術資料研究センター
⇒ 桟瓦葺きで正面に唐破風の車寄せをつけた明治時代の木造建築物の傑作とされる。
昭和27年(1952) 現在の名称、奈良国立博物館になる。

 特徴

  • 東京国立博物館、京都国立博物館、九州国立博物館と並び四大国立博物館の一つ。
  • 仏教美術を中心に展示する国内屈指の博物館。
  • 毎年秋に正倉院展を開催し、全国各地から多くの見学客が訪れる。
  • 本館と新館は地下通路で結ばれ、仏像の製造過程や模型やパネル展示、ミュージアムショップ、レストランなどがある。
  • 新館は、絵画・工芸・書跡・考古の分野の「平常展」と正倉院展などの「特別展」の会場となる。
  • 新館1階には学習コーナーが設置されている。
    1. 国宝関係の図書閲覧やデジタル映像の鑑賞ができる。
    2. 東大寺南大門や転害門、興福寺北円堂の精巧な模型がある。

 施設

  • 東西の新館、なら仏像館(本館)、青銅器館の4つのギャラリーがある。
  • 南西のエリアは広場になっており、春日東西跡がある。
  • 西新館南側に、茶室・八窓庵や文化財保存処理所、仏教美術資料研究センターがある。
奈良国立博物館 詳細図
奈良国立博物館 詳細図
奈良国立博物館 庭園散策マップ
奈良国立博物館 庭園散策マップ(館内配布パンフレット)
春日東西塔跡
Ruins of Kasuga east and west towers
神仏習合思想の代表的遺構
奈良国立博物館 春日東塔跡
東塔跡
奈良国立博物館 春日西塔跡
西塔跡

  • 春日大社一の鳥居を入った北側に、東西に並んだ2基の塔跡。
  • 西塔:永久4年(1116)、関白・藤原忠実が建立。「殿下の御塔」と称す。
  • 東塔:保延6年(1140)、鳥羽上皇が建立。「院の御塔」と称す。
  • 承4年(1180)、平重衡による南都焼き討ちにあって焼失し、その後再建。
  • 応永18年(1411)、落雷によって焼失し、その後は再建されず。
  • 東西両塔の規模はともに興福寺五重塔とほぼ同じ。初層の一辺は約8.6メートル、高さ約50メートルと推測
  • 両塔の南正面には複廊、中央には楼門を設け、東・西・北の三方には一辺約70~80mの築地(塀)を巡らす。
  • 往時の偉容は、絵画の春日宮曼荼羅などで確認できる。
春日宮曼荼羅
  • 画面の上辺に春日山、三笠山、若草山、その下に春日大社本殿および若宮、さらに二ノ鳥居を経て左下に東西両塔、中央の一ノ鳥居に至る景観が描かれる。
  • 五社の神々に対応する本地仏(十一面観音、地蔵菩薩、薬師如来、釈迦如来、文殊菩薩)が円相内に表されるものもある。
  • 14世紀までに十数点存在する。
  • 近年まで行われていた奈良市南市町の春日講の本尊として伝来したものが最大級であり、正安2年(1300)の製作であることが表背の押紙から知られ、旧箱の箱書から慶長19年(1614)には春日講本尊であったことがわかる。
絹本著色春日宮曼荼羅図
絹本著色春日宮曼荼羅図(奈良市南市町伝来)
茶室・八窓庵
Hassoan (Eight Window Hermitage) Teahouse
大和三茶室
奈良国立博物館 八窓庵

  • 元は興福寺大乗院の庭園(現在の奈良ホテルの南)に建っていた古茶室。
  • 含翠亭(がんすいてい)ともいい、江戸時代中期に創建。
  • 草庵風、入母屋造茅葺で、天井は床前から点前座にかけて蒲天井とし、残りは化粧屋根裏になっている。
  • 茶室(四畳台目)に相の間(4畳)と水屋(3畳)が附属。
  • 明治25年(1892)、奈良の篤志家たちによって、当時の帝国奈良博物館に寄贈・移築された。
  • 創建当初の状態を良く保っている。
  • 江戸時代の茶人・古田織部好みと伝えられる多窓式茶室。
  • 「千利休が好む極端に狭い茶室」から「小掘遠州が好んだ四畳半台目のゆったりとした茶室」に移行する中間の貴重な遺構。
大和三茶室
  • 東大寺 四聖坊の隠岐録 ⇒ 東京に移設後、戦災で焼失
  • 興福寺 慈眼院の六窓庵 ⇒ 東京国立博物館に移設
  • 興福寺 大乗院の八窓庵 ⇒ 奈良国立博物館に移設

 国宝

絵画
名称 適用 詳細
絹本著色十一面観音像
紙本著色地獄草紙
紙本著色辟邪絵5幅
紙本墨画山水図(水色巒光図) 伝周文筆 文安二年心田清播等三僧賛
彫刻
名称 適用 詳細
木造薬師如来坐像
工芸品
名称 適用 詳細
蓮唐草蒔絵経箱
刺繍釈迦如来説法図 京都・勧修寺伝来
牛皮華鬘13枚 東寺伝来
書跡・典籍
名称 適用 詳細
紫紙金字金光明最勝王経10巻
金剛般若経開題 空海筆
古文書・考古資料・歴史資料
名称 適用 詳細
越中国射水郡鳴戸村墾田図 天平宝字三年十一月十四日
伝教大師筆尺牘(久隔帖)
日本書紀 巻第十残巻(紙背性霊集)

 重要文化財

建造物
名称 適用 詳細
旧帝国奈良博物館本館
(なら仏像館)
附:内匠寮奈良博物館建築工事図面(明治23–28年)235枚、表昇降口雛形1箇、棟札1枚
旧奈良県物産陳列所
(仏教美術資料研究センター)
絵画
名称 適用 詳細
絹本著色両界曼荼羅図(厨子入)2面 滋賀・聖衆来迎寺伝来
絹本著色尊勝曼荼羅図
絹本著色一字金輪曼荼羅図
絹本著色大仏頂曼荼羅図
絹本著色倶利迦羅竜剣二童子像・両界曼荼羅図3幅
絹本著色浄土曼荼羅図(伝・清海曼荼羅) 奈良市・極楽寺伝来
絹本著色二河白道図
絹本著色釈迦霊鷲山説法図
絹本著色釈迦三尊像3幅 滋賀・聖衆来迎寺伝来
千手観音像(絹本著色)・木造観音立像
絹本著色千手観音像
絹本著色如意輪観音像
絹本著色五字文殊菩薩像
絹本著色普賢菩薩像
絹本著色普賢十羅刹女像
絹本著色地蔵菩薩像
絹本著色地蔵菩薩像
絹本著色普賢延命像 青蓮院伝来
絹本著色虚空蔵菩薩像 滋賀・円満院伝来
絹本著色不動明王八大童子像
絹本著色五大明王像1幅
絹本著色十二天像12幅 三重・大宝院伝来
絹本墨画白衣観音像 約翁徳倹賛
絹本墨画水月観音像 天庵妙受賛
絹本著色親鸞聖人像 京都市伏見区・常福寺伝来
絹本著色安東円恵像 明極楚俊賛
絹本著色道宣律師像
絹本著色明空法師像 滋賀・仏心寺伝来
絹本墨画大道和尚像 伝明兆
絹本著色一休宗純像
紙本白描胎蔵図像(智証大師本)2巻
紙本白描諸観音図像
紙本白描不動明王図像 寛元三年兼胤書写奥書
紙本白描東大寺戒壇院扉絵図
絹本著色生駒曼荼羅図
絹本著色日吉山王宮曼荼羅図
絹本著色仏涅槃図 陸信忠 愛知・宝寿院伝来
絹本著色十王像3幅 陸仲淵
絹本著色十王図10幅 陸信忠
絹本著色白衣観音図 高麗
絹本著色絵因果経 巻二上(62行)
紙本著色華厳五十五所絵1面
紙本著色地獄草紙断簡(沸屎地獄)
彫刻
名称 適用 詳細
乾漆力士形立像
銅造薬師如来坐像
木造十一面観音立像 奈良~平安時代
木造十一面観音立像 新薬師寺伝来
木造兜跋毘沙門天立像
木造如意輪観音坐像
木造大日如来坐像
銅造蔵王権現立像
木造獅子(文殊菩薩像台座) 園城寺伝来
木造狛犬1躯
木造増長天立像 興福寺伝来
木造多聞天立像 興福寺伝来
木造愛染明王坐像 附:瑜祇経 建長8年(1256年)快成作
木造釈迦如来立像 文永10年(1273年)玄海作
石造三尊仏龕 長安宝慶寺伝来
石造十一面観音龕 長安宝慶寺伝来
工芸品
名称 適用 詳細
阿弥陀如来鏡像(銅鏡松喰鶴文)
金銅山王十社御正体 建保6年(1218年)
熊野十二社権現御正体
金銅蛭巻入峰斧
金銅五鈷明王鈴
金銅宝珠鈴・金銅独鈷鈴・金銅三鈷鈴
金銀鍍宝相華文如意
金銅鰐口 建長6年(1254年)銘
金銅種子華鬘6枚 滋賀・兵主大社伝来
鉄釣燈籠
梵鐘 陳太建七年銘
鳳凰戧金経箱
黒漆大般若経厨子
黒漆小龕(首懸駄都種子曼荼羅厨子) 奈良・額安寺伝来
黒漆宝篋印塔嵌装舎利厨子 附:法華経8帖
春日龍珠箱
刺繍三昧耶幡(納入文書9枚付)17旒
附:幡残片6枚、幡頭金具8箇、木箱1合、錦幡2旒(幡頭金具4箇付)
滋賀・兵主大社伝来
書跡・典籍
名称 適用 詳細
法華経(色紙)8巻
仏説灌頂随願往生経(天平九年石川年足願経)
紫紙金字華厳経 巻第七十
中阿含経 巻第九(善光朱印経)
紫紙金字金光明最勝王経分別三身品第三残巻 永仁二年後宇多天皇宸翰願経
紺紙金字一字宝塔法華経 巻第三、第五
法華経8巻 建治二年八月四日宗性願文
仏教関係記録・撰述書
金剛般若集験記
七大寺日記
門葉記(寺領目録) 尊円親王筆
雑筆集5巻
神護寺如法執行問答 明恵筆
弘法大師御勘文
類秘抄4巻 承久二年二月定真書写奥書
華厳十重唯識瑺鑑記 巻第四 凝然筆
古文書・考古資料・歴史資料
名称 適用 詳細
弘福寺牒並大和国判
造東大寺司請経牒
東大寺開田図4幅
・越前国坂井郡高串村東大寺大修多羅供分田図 天平神護二年十月
・越中国礪波郡石粟村官施入田図 天平宝字三年十一月
・越中国射水郡鳴戸村墾田図
・越中国射水郡鹿田村墾田図
筑前国嶋郡川辺里大宝二年戸籍断簡 紙背千部法華経校帳断簡
豊前国仲津郡丁里大宝二年戸籍断簡 紙背検受疏目録断簡
万昆嶋主解 天平宝字二年七月廿八日
民部省符 延長四年二月十三日
神泉苑請雨経法道場図
大和国乙木庄条里坪付図
伝教大師求法書等
弘法大師二十五箇条遺告
慈円僧正懐紙
兀庵普寧墨蹟
清拙正澄墨蹟
佐味田宝塚古墳出土品 東京国立博物館と分蔵
天神山古墳出土品(銅鏡23面、鉄製品16点)
金銅山代忌寸真作墓誌 神亀五年(728年)
佐井寺僧道薬墓出土品(銀墓誌、骨壺) 和銅七年(714年)
金銅宝塔形経筒・銅造如来立像 経筒:永久四年(1116年)銘
壱岐鉢形嶺経塚出土品 弥勒仏像 延久三年(1071年)銘
銅経筒(保延七年在銘、普賢十羅刹女像毛彫)・滑石外筒(法華種子曼荼羅・真言等陰刻)
出雲荻杼古墓出土品(青磁鉢2口、青磁皿1枚、陶製甕・蓋石共1口)
本館(なら仏像館)
Nara Buddhist Sculpture Hall
重要文化財
本館(なら仏像館)

  • 斬新なルネサンス様式のレンガ造りの建物として建てられた。
  • 設計:片山東熊(赤阪迎賓館(東京都)なども設計)
  • フレンチルネサンス高揚期の様式
  • 玄関まわりの装飾は、明治中期の欧風建築として代表的なもの。
  • 昭和12年(1937)、収蔵庫を建設
  • 平成14年(2002)、収蔵庫が青銅器館となり中国古代青銅器[坂本コレクション]を常設展示。
  • 平成22年(2010)、展示室をリニューアル、『なら仏像館』として再オープン。
仏教美術資料研究センター
Buddhist Art Library and Research Center
重要文化財
奈良国立博物館 仏教美術資料研究センター

  • 昭和55年(1980)に、仏教美術資料とその関連資料の調査研究と保管、公開を目的に建てられた。
  • 設計:関野貞
  • 1902年(明治35年)竣工の旧奈良県物産陳列所
  • 公開資料は以下のとおり
    1. 図書 約77,300冊
    2. 雑誌 約3,000タイトル
    3. 展覧会カタログ 約14,600冊
    4. 写真 約178,000枚

 庭園風景

奈良国立博物館 国東塔
国東塔
奈良国立博物館 西新館と八窓庵
西新館と八窓庵
奈良国立博物館 心字池
心字池
奈良国立博物館 西新館と庭園風景
西新館と庭園風景
奈良国立博物館 庭園風景
庭園風景
奈良国立博物館 八重桜と中庭庭園風景
八重桜と中庭庭園風景

 関連リンク

 案内

住所

  • 奈良市登大路町50

交通

  • 近鉄奈良駅 ~ 徒歩15分

見学 詳細

  • 時間 基本 9:30~17:00(一部、19:00まで)
  • 料金 個人520円、大学生260円、高校生以下無料(特別展はその都度決定)