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高松塚古墳

Takamatsuzuka Tumulus

特別史跡

所在地

  • 飛鳥駅から国道169号線を越えて東方にある丘陵地の南斜面にある。
  • 古墳の西側には、壁画館がある。
【位置図】高松塚古墳
高松塚古墳 位置図

  • 国営飛鳥歴史公園高松塚地区として整備されている。
飛鳥歴史公園 高松塚周辺地区 芝生広場
高松塚周辺地区 芝生広場
大和古墳分布図(高松塚古墳)
大和古墳分布図(高松塚古墳)

発掘調査

昭和47年(1972)

  • 彩色壁画が発見される。⇒ 国内初の壁画古墳
  • 昭和37年(1962)頃、村人がショウガを貯蔵しようと現在の墳丘南側に直径60cmの穴を掘ったときに、凝灰岩の四角い切石が見つかったことが発掘の発端になった。
  • 古墳自体は、鎌倉時代頃に盗掘を受けているが、壁画の彩色は鮮やかに残り、副葬品の一部も検出された。

平成17年(2005)

  • 墳丘裾をめぐる周溝の発見により、直径23mの円墳であることが判明。
  • 墳丘は中世以降の徐々に削り取られて、下段の墳丘はほとんど失われている。
  • 古墳の下の遺物包含層から7世紀中頃の土器が版築の最下層から藤原宮朝(694~710)の須恵器が出土
    ⇒ 築造時期を推定する手がかりとなっている。

国宝・重要文化財

国宝

  • 壁画4面

重要文化財

  • 出土品

墳丘

  • 円墳(二段築成)
  • 直径(下段:23m・上段:18m)、正面から見かけの高さ:8.5m
  • 周囲に幅2.5mの周濠がめぐる。
  • 江戸時代の絵図には、墳丘に大きな松の古木が描かれ、文武天皇陵とされていた。
高松塚古墳 墳丘
高松塚古墳 墳丘

年代・埋葬者など

  • 被葬者:天武天皇の関りをもつ皇族をはじめとした有力氏族と推定
  • 横口式石槨の形態や出土遺物などから、7世紀末から8世紀前半に造営されたものと推測される。

埋葬施設

  • 横口式石槨、切石組合せ式、凝灰岩
  • 内側の寸法:長さ265.5cm、幅103.5cm、高さ113.4cm
  • 南壁が閉塞石を兼ね、その前面に墓道が掘削される。
  • 墓道の幅は石槨との接合部で2.4m
  • 石槨の内部には漆喰が塗られ、壁画が描かれる。

壁画

Mural-painting
  • 側壁と奥壁に四神図と男女人物像、日月像、天井には星宿図が描かれる。
    ⇒ 飛鳥時代後半の服装を知る上で貴重な資料。

[四神図と日月像]

  • 四神は中国の思想に基づき、古来天子の象徴として用いられる。
  • 四方を鎮護し、東西南北の星座の形から具像化された(東:青龍、西:白虎、南:朱雀、北:玄武)
  • 青龍の上に日像、白虎の上に月像が描かれている。

[人物群像]

  • 男子4人、女子4人各1組の群像が東西両壁に2組ずつ(計16人)描かれている。
  • 男子群像は、蓋(きぬがき)、柳筥(やなぎばこ)、床凡(しょうぎ)、鉾のようなものを持っている。
  • 女子群像は、2ずつが東壁では団扇(だんせん)・払子(ほっす)、西壁では翳(さしば)・如意を持っている。
  • すぐれた筆致(ひっち)で細かく描かれ、国内美術、絵画史上すぐれた作品と評価されている。

[星宿図]

  • 天井石の中央、約1m四方の範囲に描かれる。
  • 直径9mmほどの金箔を円形に貼りつけ朱線で結び、星座を表現している。
  • 東西南北7宿ずつ、計28宿を描いている。

高松塚古墳壁画展開図
高松塚古墳壁画展開図


高松塚古墳壁画
左上から順に、[西壁]男子群像、月像・白虎、女子群像
[北壁]玄武、[東壁]女子群像、日像・青龍、男子群像


星宿図(天井部)

副葬品

高松塚古墳出土品

Takamatsuzuka Tumulus Excavated Articles
  • 石槨内から出土
    • 海獣葡萄鏡、銀荘唐様大刀の外装具、ガラス、コハク製の玉類
    • 棺を飾っていた金銅製透飾金具、円形飾金具、銅製角釘など

    ⇒ 美術工芸史上貴重な資料。


海獣葡萄鏡(左)
大刀の外装具[石突・冑金・銀製山形飾金物](右)

棺の留金具[円形飾金具・座金具・銅釘](左)
金銅製透飾金具(右)

保存と展示

  • 壁画保存のため、墳丘南側に保存施設を設置し、現地で保存していた。
  • 平成13年(2001)頃から微生物による汚染が進行し、壁画の保存環境が著しく変化。
    ⇒ 漆喰層の劣化が認められたので、文化庁は新たな保存方法を検討
  • 平成16年(2004)、白虎が著しく劣化していることが判明、社会問題となる。
    ⇒ 現地での保存と修理が困難であることから、壁画を石材ごと取り出し、別の施設で修理することになる。
  • 平成18年(2006)から石室解体に向けての発掘調査が開始される。

[展示]

  • 高松塚古墳の石槨内部の模型と壁画の忠実な模写・模造、出土遺物の複製を展示。
  • 終末期古墳の築造技術などを解説。
  • 保存記念郵便切手の寄附金で建設。

[案内]

  • 開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
  • 休館日 : 12/28~1/3
  • 観覧料 :
     大人250円、学生(高校・大学)130円、小人(小・中学)70円
高松塚古墳壁画館内部
壁画館内部の様子
(高松塚壁画館パンフレットより引用)

参考文献

  • 奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック 網干善教 監修 奈良商工会議所 編 山と渓谷社
  • 奈良県の歴史散歩 (下)奈良南部 [歴史散歩29] 山川出版社
  • 飛鳥史跡事典 木下正史 吉川弘文館

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<所在地>

  • 高市郡明日香村平田

 

<アクセス>

  • 飛鳥駅 ~ 徒歩10分

 

<入場>

  • 時間:自由
  • 料金:無料