藤ノ木古墳

石棺内の副葬品が豊富で、6世紀後半の埋葬儀礼を解明する上で貴重な資料を提供し、当時の文化の国際性をも示す極めて重要な古墳。

藤ノ木古墳 出土品
Fujinoki Tumulus Excavated Articles
国宝
 約12,000点
 橿原考古学研究所附属博物館において保管・展示
 古墳時代後期(6世紀後半)
 未盗掘で、ほぼ完全に残された状態で検出

藤ノ木古墳 金銅製鞍金具(レプリカ)

 明細

石棺内
名称 員数 内容
銅鏡 4面 獣帯鏡1、画文帯神獣鏡2、神獣鏡1
金属製品 一括 金銅冠、金銅履、金銅製・銀製装飾品類、刀剣類など
ガラス玉製品 一括 ガラス玉類
附 繊維類 一括
  • 埋葬当時のまま残っており、豪華な副葬品とともに棺内のその配置状態がわかる貴重な例である。
石棺内の遺物出土状況(洗浄後の様子)石棺内の遺物出土状況(状態図)
石棺内の遺物出土状況
(引用:遺跡に学ぶ 032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』新泉社)
石棺外
名称 員数 内容
金銅鞍金具 1背
鉄地金銅張鞍金具 2背分 残欠共
金属製品 一括 馬具類、挂甲小札、刀身、鉄鏃、鉄製模造品など
土師器・須恵器 46箇 須恵器37(蓋3箇共)、土師器9
  • 石棺と奥壁の狭い間から折り重なって遺物が出土。
    ⇒ 豪華絢爛な金銅製馬具の鞍金具は石室奥部ほぼ中央に、前輪が東、後輪が西に(つまり東向き)に副葬されていた。
    ⇒ 後に判明した石棺内の被葬者が東部を頭に埋葬されていたことと一致する。
  • 石棺奥部全面から歩揺付尻繋飾金具が40個以上出土したが
    1. 他の馬具類より上層から出土する場合が多く、副葬位置を特定できなかった。
    2. 飾り金具に本来付いているはずの歩揺が一枚も装着されておらず、取り外されていた。

馬具の名称
(引用:遺跡に学ぶ 032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』新泉社)

 詳細

金銅製鞍金具
Gilt bronze saddle hardware

金銅製鞍金具
(引用:遺跡に学ぶ032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』)

  • 幅:57cm、高さ:43cm
  • 木製の鞍部の鞍橋(くらぼね)に取付られた金属板で「前輪」と「後輪」から成る。
  • 古代東アジアにおいても類例を見ない、精緻な透彫りが施されている。
  • 前輪、後輪の覆輪、海金具、磯金具がほぼ元のままで残っている。
  • 覆輪と磯金具にはパルメット唐草文が彫られている。
  • 海金具を構成する六角繋ぎの文の中には、象、鳳凰、兎、竜、獅子、マカラといった動物文、パルメット文などの植物文が透かし彫りされている。
須恵器・土師器
Haji-ki pottery and Su-ki pottery
藤ノ木古墳 須恵器・土師器
須恵器・土師器
(引用:遺跡に学ぶ032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』)

  • 須恵器40点
    1. 無蓋高杯(むがいたかつき)7
    2. 有蓋高杯(ゆうがいたかつき)9、蓋14
    3. (はそう)2
    4. 壺1
    5. 有蓋台付壺3、蓋3、器台1
  • 土師器11点
  • 玄室の西南隅からまとまって出土した。
  • ほぼTK43型式(大阪堺市周辺の陶邑窯跡群の中の高蔵地区(TK)の43号窯で出土した土器形式)
金銅製冠
Gilt bronze crown
藤ノ木古墳 金銅製冠
金銅製冠
(引用:遺跡に学ぶ032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』)

  • 帯の長さ:約52cm、立飾り含めた高さ:約35cm。
  • 帯部は二山をなす広いタイプで、そこに2枚の立飾りからなる冠。
  • 立飾りには、絡み合う波状の文様を組合せ、その先端には鳥形や剣菱形意匠やゴンドラ状意匠が透彫りで表現されて、全体に花弁形と鳥形の歩揺により装飾されている。
金銅製履
Gilt bronze footwear
藤ノ木古墳 金銅製履
金銅製履
(引用:遺跡に学ぶ032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』)

  • 全長:38.4㎝、幅:最大12.4㎝、高さ:最大11.6cm。
  • 2組が出土。
  • 銅板の表面に線刻と突いてつけた列点文により、六角形の亀甲繋ぎ文を施してある。
  • ほぼ全体を歩揺が覆い、装飾されていた。
金銅製筒形品
Gilt bronze cylindrical goods
藤ノ木古墳 金銅製筒形品
金銅製筒形品
(引用:遺跡に学ぶ032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』)

  • 全長:39cm、重さ:170g(現状)。
  • 2枚の金属板を丸めて、両端を径6cmほどの円形の金銅板で蓋をしたもの。
  • それぞれのつなぎ目は歩揺のついた針金で綴じ付けてある。
  • 石棺の主軸に対して約45度ずれた状態であったが、本体から外れた歩揺の位置から、南側被葬者の頭上に真っ直ぐ置かれていたと推測される。
銅鏡
Copper mirror
藤ノ木古墳 画文帯環状乳神獣鏡藤ノ木古墳 獣帯鏡
(左)画文帯環状乳神獣鏡/(右)獣帯鏡
(引用:遺跡に学ぶ 032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』新泉社)

  • 石棺の中には4面の銅鏡があった。
  • 北側被葬者の頭の下に画文帯環状乳神獣鏡、南側被葬者の頭の下に獣帯鏡が置かれていた。
  • ともに「倭の五王の鏡A類」に分類されるもので、舶載鏡と見られ、5世紀の中国南朝との交流の中で大王家を中心にした勢力が手に入れ、その大王の支配権のなかに参画したものに配布されたと考えられる。
  • 他の2面はA類を参考にしてつくられた「倭の五王の鏡B類」とされるものであり、5世紀中頃以降、国内で製造され、同じように配布された鏡である。
刀剣類
Swords
藤ノ木古墳 刀剣類
(左)剣 /(中)大刀 /(右)魚佩[いずれも復元]
(引用:遺跡に学ぶ032『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』)

  • 棺内には5振の大刀と1振の剣があった。
  • いずれも金銅製の華麗なつくりで、朝鮮半島製とみられる円頭大刀(83cm)のほかは、全て古墳時代前期以来の伝統的な倭風大刀の系譜を引くものであった。
  • 特に2人の被葬者の左右の最上部に置かれていた大刀は、ともに長さ136cmの大振りで金銅製の三輪玉や魚佩を伴い、金銅板、銀板、さらに幾重もの織物を巻き、鞘にはガラス玉を散りばめた美しいものであった。
  • 魚佩(大形の魚を背開きにしたような薄い金銅板で作られた装飾品:ぎょはい)が2枚1組で3組(計6枚)出土し、3振の大刀に附属することを示す紐状の繊維が残っていた。
    ⇒ 魚佩の用途がはっきりした。
  • 6世紀の古墳から出土する倭風大刀の中ではひときわ優れたものであり、大王の佩刀と呼ぶにふさわしいものであった。
 

 案内

住所

  • 生駒郡斑鳩町法隆寺西2-1

交通

  • 法隆寺駅 ~ バス「法隆寺門前」行き終点 ~ 徒歩10分

見学

  • 時間 自由
  • 料金 無料