元興寺

日本最初の本格的伽藍である法興寺(飛鳥寺)が 平城遷都にともなって、 蘇我氏寺から官大寺に性格を変え、 新築移転された寺院。

元興寺 禅室
Gangoji Temple Zen-Shitsu
国宝
 切妻造(桁行4間・梁間4間) 一重
 本瓦葺
 寛元年間の改築再建
 飛鳥時代(推定590年)伐採の材木での部材が残る
元興寺 禅室
(2012/12/31撮影)

 歴史

時代 内容
寛元ごろ 本堂(極楽堂)と同様に曼荼羅堂を改修して再建。

 建築

  • 元興寺僧坊の姿を伝える建物。
  • 旧僧坊の平面を生かし鎌倉時代に改築したものだが、細部に当時の最新様式である大仏様を巧みに使用。
  • 桁行柱間の一間ごとに間柱2本を立て、中央間を戸口とする僧房の形式を示す。
  • 一房は中央に板扉が開き、左右は連子窓とする。
  • 床は板敷で、室内は南・中央・北と大きく三室に区分されていたと考えられる。
  • 現在は、東側3房分を大きな部屋としているが、西側の1室は僧坊時代の様子を復原している。
    ⇒ 南西1間:影向間、須弥壇、宮殿厨子 / 北西1間:中世僧房
  • 転用されて残る古材が多く、屋根には古く飛鳥寺から移されたと推定される行基葺の瓦を葺いている。
元興寺 行基葺
飛鳥時代の古式瓦 (2012/12/31撮影)
行基葺
  • 極楽堂(本堂)西側と禅室南側東寄りにある。
  • 丸瓦の重なる部分が凹んでいないため、瓦の厚み分が段として見える瓦の葺き方。
  • 元興寺に葺かれた瓦は大きく分けて次の2種類。
    1. 平城京での元興寺移建に際して製作されたもの
      ⇒ すり消しがなく、表面に縄の目の叩き目が残る。
      ⇒ 製作工程が簡略化されている。
    2. 前身の法興寺から運ばれてきたもの
      ⇒ 赤みを帯びた色調が多く、製作時の縄の目の叩き目を完全にすり消したり、平行線や格子の叩き目が残る。
  • 軒瓦については、法興寺の軒丸瓦(素弁蓮華紋)がほとんど運ばれていない。
    ⇒ 発掘調査より出土した2点のみ。
    ⇒ 平城京への移建時には当時最新の複弁八葉蓮華紋を施した軒丸瓦のみを使用。
行基葺
行基葺

奈良時代移建期まで使われた。へこみのないラッパ状の丸瓦を連結するので、下から見上げると魚の鱗のように見える。
本瓦葺
本瓦葺

通常の本瓦葺の方法。丸瓦の端に一段へこんだジョイント部がついていて、きれいに接合することができる。

(引用:元興寺公式ガイドブック「わかる!元興寺」)

 案内

住所

  • [極楽坊] 奈良市中院町11
  • [大塔跡] 奈良市芝新屋町12
  • [小塔院跡]奈良市西新屋町45

交通

  • 近鉄奈良駅 ~ 徒歩15分

拝観 詳細

  • 時間 9:00~17:00
  • 料金 500円(特別展の時期は600円)